忠告

オレは何も知りはしない
何も欲しいとは思わない
何も欲したことすらない

だからお前が、今そこにあるもので何故満足できないのか、分からない

お前の崇高な意志とやらが
どれほど守らなければいけないものなのか
それとも捨てなければいけないものなのか
どうだっていい

またオレの知らない間に壊れなければそれでいい

お前の周りの女どもは、お前が幸せであればそれでいいと云う
お前の周りの男どもは、お前の言葉をもう何ひとつ信じないだろう

好んで孤立しているとでもいうのか
可哀想なことだ

　
オレにはハナから生きる価値はないから
小さな幸せをひとつひとつ拾いながら生きられる
１人でも必要としてくれるヤツがいるなら
それだけがオレの全てで、他に何もいらない

お前はどうなんだろうか
期待されて生まれ、生を祝福され、惜しみない愛情を与えられて育った
お前にそれ以上何かを欲しいと思える余地があったんだろうか？
お前は何を以て満たされることができるんだろうか？

愛する存在を二度失ったことを知っている
酷い悲しみようだった
お前の傷ついたことのない心に深い傷を負わせたことだろう
お前は死と再生を望んだ

例え全てを投げうって再び愛そうとして
果たして同じように幸福は得られるものなのだろうか

オレにひとつだけ助言をする権利があるのなら
あの女は、きっとお前を幸せにするだろうと思う
お前が思ってもみなかった、色んなことを教えただろう？
お前が悲しみを思い出したときに慰めたのは誰か
誰に慰めてほしいと思ったのか
よくよく考えてみるがいい

もう随分疲れただろう
休んだっていいんだ
肉欲だけではない愛情があることを知れ
前の恋人と似たヤツを好きになるな
また同じ過ちと傷を繰り返すだけだ

お前は病気だ
お前を蝕んでいるのは心の病だ
オレはオレの病を自覚しているが
お前は自覚しているつもりで見ないふりをしている
そういうヤツが一番厄介だ

愛する女を、愛する男を、お前自身を
じわじわと傷つけていることを、分かっていながら傍観している
諦めるのは勝手だが
オレにはお前がとても滑稽に思える

だが笑いはしない
きっとお前には何を言っても、無駄だからだ

こんな風に見放せば、内心お前はすがりつくだろう？
オレが言っても聞く耳持たないかもしれないが、他の誰かが言えば、きっとそうするに違いない
見捨てないでと、置いていかないでと
そんなお前を見たくはなかったが
それが今のお前だということをいい加減認めろ

誰もお前に強さなど求めてはいないのだ
まず弱さと向き合うことから始めろ
いつまでも押し問答では、いい加減誰しもに呆れられるだろう